2025.04.16コラム 台湾で有機烏龍茶を栽培する【天心茶園】 ~李宜宸さんと張瑩潔さん~ 天心茶園は台湾の東側、緑豊かな花蓮県玉里鎮の赤科山にあります。こちらで茶園を営む若夫婦、李宜宸さんと張瑩潔さんは奥さんの実家の茶業を引き継ぐために帰郷しました。ご主人の李さんは、美しい花蓮県玉里鎮赤科山の環境で茶業を学べることは本当に素晴らしいいます。この数年間、妻の張さんは北部・中部・南部を巡りながら、製茶や茶の鑑定に関する講座や活動に積極的に参加してきました。 そして2024年初めて全国有機清香球型茶のコンテストに参加し、見事に特選賞(第一位)を受賞しました。数多くある茶葉農家の中でわずか数年でこのような栄誉を得られたことは彼らの熱意と両親が繋いできた知識と経験によるものでしょう。李さんはこのような賞を受賞でき非常に誇りと喜びを感じていると嬉しそうにお話してくれました。 全国有機茶コンテストとは農業部農糧署および茶および飲料作物改良場(略称:茶改場)の指導のもと、財団法人台北市瑠公農業産銷基金会が主催する大会です。「2024全国有機茶分類・等級TAGs評価活動」では、有機清香型半発酵茶の条形包種茶部門と球形烏龍茶部門の審査が行われました。2024年は、4月15日から5月3日までの期間に募集が行われ、農家は茶葉を提出しました。審査当日には、産官学界の台湾のトップレベルの茶鑑定専門家が審査し、TAGs(Taiwan-tea Assortment & Grading system)クラウド評価システムを用いて、茶葉の外観、水色、香り、味わい、口当たりの各項目を評価・採点します。TAGsに基づき、「特選」「精選」「優選」の等級に分類され、受賞した茶には個別の評価報告書が提供されます。これにより、消費者は各有機茶の特徴を理解しやすくなるとともに、茶農家にとっても今後の製茶技術の調整に役立つ参考資料となります。 このようなコンテストで名誉ある特選賞を得たことは「単に自分たちの努力が認められたというだけでなく、赤科山で有機茶作りに励んでいる全ての茶農家への励ましでもある」と語っています。 赤科山は台湾の中でも茶葉の名産地としてはあまり知られていません。「赤科山でもお茶を作っているの?金針花(デイリリー)だけじゃないの?」とよく言われたと李さん。今回の受賞を通して、皆さんに「赤科山では、お茶も作っていて、それがとても美味しいんだよ」ということを知ってもらいたいのだそう。 李宜宸さんは、今回のお茶作りには半月以上を費やし、家族全員が腰が曲がるほどの疲労を感じるほどだったと話します。また、義父の張振浪さん、義母の范秀純さんには多くのことを教わり、心から感謝しているとのことです。義父母はとても寛大で、彼らに自由に挑戦させ、決断を全面的に支援してくれたのだそうです。 義父の張さんは引退の年齢を迎え、このままでは私たちの代で途絶えてしまうと心配していたところ娘夫婦が帰郷し茶業を引き継いでくれました。李さんは「天心茶荘の物語はここで終わるべきではありません。この土地には多くのご縁、物語、そして深い感情が込められています。それらをもっと多くの人々に感動として届け、都市の人々にも農村の生活、農家の日常、自然の息吹、森林浴の心地よさを体験してもらいたいのです。そして、先代の経験に耳を傾け、世代を超えて受け継がれる喜びを感じ、ブランドの価値を語り、過程の感動を共有していきたいと思っています。」と熱く語ってくれました。 天心茶園では有機栽培でお茶を育てており、フランスに本部を置く世界最大規模の国際有機認証機関「エコサート」認証をうけており、認定マークはオーガニック製品の中でも、さらに厳しい基準を満たしたものにのみつけられる。認定マークがついていることによって、環境にやさしい商品であることがひとめでわかる。 天心茶荘では有機茶、金針花、菊花茶を栽培し販売するだけでなく、体験農場も運営し、茶摘みや茶もみ体験をすることができるのだそう。茶葉を生産するだけでなく、多くの人に茶葉について知ってもらい体験してもらうことで茶文化を残そうと活動している。 最後にメッセージをいただきました。日本の皆さんにも天心茶園を訪れていただき、美味しいお茶とともに、人生の素晴らしさを分かち合ってほしいと思っています。その始まりは、天心の美味しいお茶からです。まずは美味しい台湾茶をご賞味ください。 文:臼田美穂 Tweet Share コラム, 作り手紹介 台湾、烏龍茶、有機 超完熟にこだわるミニトマト農家 【まつのき農】 ~松木路子さん~ 関連記事一覧 山本屋糀店 ~小宮山利幸さん~ CULTU-RE ~羅盛彥さんと陳乃韻さん~ CLING植琢~Arina Huangさん~