コラム

笑班(シャオパン)~近藤香子さん~

私の友人でもある笑班(シャオパン)は台湾在住日本人のものづくりチームです。台湾で子育てをしていく中でかわいいもの、手作りのぬくもり、美味しいものが好きな仲間が自然と集まってできたチームです。現在は6名のメンバーでミシン小物、洋裁、アクセサリー、刺繍、編み物、フラワーアレンジメント、染め物、ランチの提供などジャンルも様々に活動しています。主に代表である近藤香子さん(写真上 左から3番目)が住んでいる、桃園市大渓という日本統治時代の面影が色濃く残る街を拠点に活動しています。

毎月大渓で開催されるマーケットでは多くの作品が並ぶ

活動のきっかけは、2014年大渓区にある日本統治時代の建築物復元を柱とするまちづくりが始動したことにあるそうです。近藤さんが地域活性化に取り組む若者に自宅をマーケット会場として提供し、その後自身もマーケットに出店することに。初出店の真夏開催のマーケットで販売した日本風のかき氷が大好評。「街の人との触れ合いで、やっとこちらの住民になれた気がして嬉しかったのを覚えています。そんな興味本位で始めた月1回のマーケットも今年で8年目。2015年からはマーケット仲間が経営する古民家カフェ(新南12文創實驗商行)で地元食材を活かしたカフェランチも始めました。日本の家庭料理を通じ地元食材の美味しさを発信する活動もしています。」

毎週木曜日に提供される日本家庭料理ランチ。地元食材を使い季節や行事を楽しめるメニューが美味しい。

「なぜ【笑班】という名前なの?とよく現地の人に聞かれるのですが、みんなお笑いが好き、みんなが集まると自然と笑顔になるなど色々な理由がある中で、やはり一番大きな理由は海外生活において人とのコミュニケーションで大事なのは笑顔だと感じたことです。笑顔で接するということは相手の為でもあり、自分の為でもあります。」と話す近藤さん。いつも近藤さんの周りには笑顔で溢れています。

製作風景。仲間とアイデアを出し合いながら進めていきます。

活動して8年、この土地に暮らす人と外から集う人が交流して新しい文化が生まれているそうです。「我々の商品で毎日の暮らしが少し楽しくなったり、地元の食材を使ったランチで少しほっとしたり、笑顔が増えるきっかけ作りを続けていけたらいいな、更には日本を身近に感じてもらう存在になって日本と台湾の繋がりが少しずつ広がったらいいなと思いながら作品を作っています。」

最後に作品作りにおいてこだわっている点をお聞きしました。「まずはそれぞれの個性を尊重すること。基本的に自由な創作環境ですが、プロジェクトワークや洋服等の製作においては何よりも使う側の気持ちを考え、動きやすいデザインや軽い素材を仲間と相談しながら作っています。」

ii7GETでは笑班製作のエプロン、ワンピース、ズボンやブラウスなど日常着を中心にご紹介いたします。それらは、実は私も愛用のアイテム。リネン素材でしかも一つ一つ丁寧に手作りされたものたち。リネン特有のソフトな肌触りと通気性・保温性の良さで一年中着用しています。ゆったりとしたデザインで着心地が良くしかもスタイル良く見えるデザインのものが多いのが嬉しいですね。

ii7GET店長着用のブラウスも笑班の作品です。

≪大渓ってどんなところ?≫
桃園市大渓区は大漢渓という大きな川が流れる人口約9万5千人の都市。清の時代から水運で栄え、復興山から産出されるナフタリンの原料となる樟脳や茶葉、石炭、木材は国内外に広く輸送されました。日本統治時代の建築物が多く残された土地柄を活かし2015年に「桃園市大溪木藝生態博物館」という古蹟を含む復元された日本式建築物11ヶ所以上を巡る街歩き博物館が開幕しました。豆腐の街としても有名で、週末には豆干と呼ばれる豆腐の加工品やデザートの豆花を求め大勢の人で賑わう観光地です。

日本統治時代の建築物が数多く残る桃園市大渓

文:臼田美穂(ii7GET店長)

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