
信州幻の米 五郎兵衛米を新しい形にプロデュース 【MAITUNE】 ~藤原尚也さん~
私が藤原さんと依田さんにお会いしたのは、佐久市の「幻の米」とも言われる「五郎兵衛米」を紹介するローカル番組の撮影時でした。その頃、私は「ii7GET」で五郎兵衛米を販売したいと考えており、ちょうど生産者を探しているところでした。依田さんが手がける「THE 五郎兵衛米 信州佐久オーガニック研究会」の存在を知り、ぜひ連絡を取ってみようと思っていた矢先の出会いでした。これは運命だと思い、思い切って声をかけさせていただきました。

最初に藤原さんに自己紹介をさせていただくと、なんとも気さくで人当たりが良く洗練された雰囲気。お話を伺うと、藤原さんはアパレル業界をはじめ、化粧品会社やプロスポーツチームのマーケティングにも関わる非常に多才な人物だったのです。そのような方がなぜ、佐久の地でお米のPRに関わっているのかと尋ねたところ、共通の知人に誘われてお米作り体験に参加したことがきっかけで、依田さんと出会ったとのことでした。

藤原さん自身、農業の経験は全くなく、初めてのお米作り体験はとても新鮮で楽しかったそうです。作業後に食べた五郎兵衛米の美味しさに驚き、このお米をもっと多くの人に知ってもらいたいと思ったそうです。しかし、世の中は、「糖質制限ダイエット」ブームで、お米を食べる人が減っていました。また健康的な食生活が失われつつある現状に、美味しいお米をきっかけに健康的な食生活の見直しができないかと考え、プロデュースすることを決意されたそうです。

現在佐久市に東京から移住した尾崎ご夫婦が、依田さんとともに「MAITUNE米」を運営されています。尾崎ご夫婦にもお話を伺いました。特に若い世代や都会に住んでいる人々がお米離れしている現状を知り、驚きました。私の周りにはお米を作っている家族や友人が多く、我が家でも年間150kgのお米を購入しているので、彼らの話を聞いて驚きました。しかし、現状をよく知っているからこそ、現代のニーズに合わせた新しい形でお米の魅力を引き出し、若い世代や都会暮らしの人々にも手軽に取り入れられる方法を作り上げているのだと納得しました。

「MAITUNE米」は、ひとりひとりに合った米食を提供し、持続可能で健康的な毎日を実現することをコンセプトに開発されました。パッケージは洗練されたデザインで、密閉チャックがついており冷蔵庫で保管できる。健康を意識した日々の暮らしに気軽におしゃれに取り入れて欲しいとの思いが伝わります。お米離れしている若い世代や小人数での生活にも取り入れやすいですね。

特に「MAITUNE BALANCEMAI」は、独自の精米割合により、白米の甘さと美味しさ、そして玄米の食物繊維豊富な低GI食品の良いところを兼ね備えた、MAITUNEだけのオリジナル米です。玄米の味が苦手だったり、炊く準備が面倒、といった理由でこれまで玄米食をはじめるのを躊躇していた方、 一度チャレンジしたけれど継続を諦めてしまった方に、お米の力をくらしに取り入れるきっかけになってほしいという想いで開発されたそうです。私自身も玄米が大好きで毎日でも食べたいと思っていますが、家族には玄米を出すと嫌がられてしまいます。やはり、毎日食べても、誰が食べても美味しいと思えるお米であれば、続けやすいのではないでしょうか。

MAITUNE米に使用されている「五郎兵衛米」、まだ知らない方も多いと思いますが、実は知る人ぞ知るわが町、佐久が誇る幻のお米なのです。その名前の由来となった市川五郎兵衛真親(いちかわごろうべえさねちか)は、私財を投じて約20kmにわたる五郎兵衛用水を築き、新田開発を行いました。この水源は蓼科山(たてしなやま)の標高約1900mから流れる清流で、強粘土質な土壌と相まって五郎兵衛米を育てるには最適の土地です。そのため、生産量が限られており、五郎兵衛米は「幻のお米」と呼ばれています。さらに、日射量が豊富で昼夜の寒暖差も大きいため、一粒一粒にしっかりとした粘りと甘みがあり、炊きたてはもちろん冷めても美味しく、お米本来のおいしさを堪能していただけます。

五郎兵衛米の栽培に日々励む依田さんに、五郎兵衛米の他のお米とは違う点やその理由をお聞きしました。蓼科山から贅沢に流れる天然水、全国トップクラスの日射量と昼夜の寒暖差、栄養を逃さない強粘土質の土壌。五郎兵衛米は、これらの恵まれた土地と環境、そしてさらに依田さんのお米作りに対する数々のこだわりがおいしさの理由とのこと。MAITUNE米の配合や精米度合いなども依田さん自らが研究の末に開発したとのこと。健康に良いだけでなく毎日食べ続けられる美味しさを追求されたMAITUNE米。佐久の風景を感じながら是非食べて頂きたいお米です。

文:臼田美穂
