コラム

大呷麵本家(NoodlesOrigin)~劉世欣さん~

タロイモで有名な台中大甲区にある工場を訪ねると社長の劉世欣さんが出迎えてくれました。劉家は1934年から80年以上にわたって麺を作り続けてきたそうです。劉社長は大人になり一端故郷を離れたものの「父の技は決して単純ではない」ということに気づかされたと言います。「1934年から続く家系の味と、1世紀以上にわたる父親の麺づくりの技の継承は、地域文化、伝統産業、創造性の融合であり、家系の原点です。 父が麺を作り、私が麺を食べて育ったのだから、この技とおいしさをみんなに伝え、この一見地味で単純な商品と産地の特産物を組み合わせて、麺という日常的なものを、花火のように花開くようにできないか!」と家業を引き継いだそうです。

そして2006年三代目の劉社長が伝統的な麺に文化的創造性を加えたブランドを立ち上げ、大呷麵本家(NoodlesOrigin)を作り上げました。そして2014年台湾OTOP中小企業部製品デザイントップ10賞、2015年台湾OTOP中小企業部品質トップ10企業、2016年台中市お土産トップ10審査賞、2016年台中市商工会お土産トップ10賞・・・など、数々の賞を受賞するまでになったそうです。

左から4番目が劉社長。蔡英文大統領と

麺は小麦粉・塩・水のみで作られるとてもシンプルなもの。でも「シンプルなものほど、シンプルではない。」をモットーにヘルシーで栄養価が高いだけでなく、高品質な原材料のみを使用し、人工の香料、着色料、保存料を一切加えないことにこだわっているそうです。

例えば台中の地域文化をアピールするために、特産のタロイモを麺に取り入れた台湾初のタロイモ麺を作り上げるなどシンプルな麺に新たな価値をつくりあげました。その他にもウーロン茶、黒胡麻、キンセンカなど台湾らしい麺も多種開発しています。

劉社長は斬新な麺のコンセプトのもと、最も厳しい基準を設け、高品質で健康的な食材を探し、文化遺産やイノベーションにも力を入れ、伝統産業の改革に取り組んでいます。
伝統的に生産されてきた麺に、緑茶、玄米、タロイモ、ウーロン茶などの天然素材を使用し栄養価の高い健康食品も開発しました。


また台中の郷土文化を特産品として確立するため、パッケージにもこだわっているそうです。 伝統的な手製の紙巻きを使用し、地元大甲地方の模様や色彩が施されています。 その土地の色や質感を加えることで、文化的な側面も表現したかったそうです。

代々受け継がれてきた麺の味は、中部地方の清らかな水と厳選された小麦の原料を組み合わせることで、高品質で伝統的な麺がつくられるそうです。「高品質」「健康的な食」「地域の特産品」の精神を守りながら、「食べることは生活の基本であり、健康的な食事をすべての人に届けることが最大の目標です。」と話す劉社長。ただ伝統にこだわるのではなく、麺に新たな文化的側面やオリジナル性を与えることで伝統的産業を繋いでいく劉社長。終始笑顔で対応していただいた姿も印象的でした。

 

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