信州蓼科山麓でハラペーニョや食用ほおずきをつくる【ヤマザキ農園】 ~山崎茜未さん~
山崎さんに初めてお会いしたのは今から5年前、地域の竹細工教室でした。初めて訪れた際に、いろいろ教えていただいたことをきっかけにお話しするように。ある時山崎さんからご自身で栽培されたハラペーニョと辛みそを頂きました。ハラペーニョというとメキシコのイメージが強かった私は、寒い信州で栽培できるの!と驚いたものです。また激辛というイメージが強かったのですが、意外にも食べられる辛さ。実は日本でお馴染みの鷹の爪より辛さはマイルドなのだそう。
ハラペーニョに魅せられた山崎さんは「ついついつくりすぎちゃって。」と。地元の直売所などに卸すもまだあまりなじみのないハラペーニョはなかなか売れなかったそうです。なんとか消費できないかと考えたのが「辛みそ」信州味噌や砂糖、鰹節と混ぜることで、ピリッとした辛さがクセになる万能味噌に。もろきゅうやスティックサラダにつけたり、野菜炒めの調味料などに使ってもよいそうです。
そしてハラペーニョといえばサルサソース。このサルサソースをつくるため、まずハラペーニョのピクルスを作ったそうです。こちらのピクルスも辛いのですがついつい手が出る美味しさ。ハンバーグのつけあわせやスパゲッティやピザにタバスコ代わりに使うととても美味しいですよ。
サルサソースはあえてニンニクやパクチーを入れずさっぱりとした味わいに。そしてソースに入っている加工トマト、玉ねぎ、ニンニクも全てヤマザキ農園で獲れたものを使用しているそうです。わたしも定番のナチョスにつけていただいたのですが、とにかくあっさりしていて爽やかなトマト味にピリッとした辛さが美味しい。あっという間に一瓶食べてしまうほどでした。
また山崎さんが力をいれているのが、食用ほおずきです。まだまだ馴染みのない野菜ですがオレンジ色のかわいらしい姿とトマトとパイナップルをあわせたようなトロピカルな味わいに、サラダやデザートにトッピングとして使われることがあります。ビタミンCやカリウムも豊富で生のままでも、ドライやジュースにしても美味しくいただけます。ヤマザキさんはそんなほおずきの特徴を活かしたジャムを製作。鮮やかなオレンジ色に酸味のきいた爽やかなジャムが出来上がりました。パンにつけるだけでなく、紅茶にいれたり、ヨーグルトやアイスに合わせても。
そんヤマザキ農園の物語は、7年ほど前から始まります。それ以前はパート勤めをしながら農業を営んでいたものの、家の隣りの約600坪の畑に、さらに実家の近くの畑を3枚、親戚の畑を1枚借りて、多種多様な作物を栽培しています。それらの広大な畑を山崎さんお一人でやっているのだからすごい。また勉強熱心な山崎さんは有機農業やパーマカルチャーなどの会に参加したり、古来種の保存のために種の交換会などにも精力的に参加されています。とくに珍しい品種の栽培にも力を入れており食用ほおずきやハラペーニョ、佐久古太きゅうりを栽培している数少ない農家さんでもあります。その他にも調理用トマト、唐辛子、ナス、ピーマン、ズッキーニ、かぼちゃ、じゃがいも、ネギ、玉ねぎ、ニンニクなど、さまざまな品種がそろっています。
ヤマザキ農園の最大のこだわりは、農薬を一切使用しないことです。自然と共に共存し、環境にも優しい農業を心がけているそうです。農業の楽しみは何ですかと伺うと、「作物がどのように成長して実を結び、収穫できる瞬間を見るのは、本当にワクワクする瞬間なんです。」
また思い出深いエピソードを伺うと、地元メディアの週刊さくだいらに取り上げられことだそうです。「あの時は嬉しいやら恥ずかしいやら~。」と。メディアで注目されたことは、山崎さんにとって大きな励みと自信にになったようです。
最後に、ヤマザキ農園からお客様へのメッセージをいただきました。「心を込めて作りました。気に入っていただけたら嬉しいです。」
農薬を使わず、安心して食べられる美味しい野菜を無添加でつくったジャムや調味料。ヤマザキ農園のこだわりと情熱を是非お楽しみください。
文:臼田美穂