コラム

草木染め作家「草木と花と」 ~竹花 友理香さん~

身近な植物を用いて美しい色で布を染め上げる「草木と花と」の竹花 友理香さん。今回は、草木染めに関わるまでのエピソードや作品に込められた想いについてお話を伺いました。

「小さい頃から植物、特に野の花がとても好きで、花摘みをしたり、押し花をしたりしていました。」自然豊かな環境で子ども時代を過ごしていた竹花さんにとって、植物は身近な存在で、生活や遊びの一部だったそうです。

小さい頃も、今も、竹花さんにとって身近な存在の野の花たち。

そんな竹花さんが草木染めを知るようになったのは、お子さんがアレルギーやアトピー性皮膚炎だったことから、自然のものに関心が向き、自然に優しいものを取り入れた生活を始めたことがきっかけでした。
「洗剤や食料の他に、衣類の化学繊維のこと、合成染料のことなどが気になるようになり、そんな中知ったのが草木染めでした。もともと植物が好きだったこともあり、長野県南佐久郡小海町への転居を機に草木染めを習い始めました。当時まだ生後半年の次男をおんぶしながら、地元の方に混じって時には面倒をみていただきながら勉強しました。」

藍染めに用いる藍の葉
草木染めを習い、初めて作品展に出品した、藍染めの子供用甚平とよだれ掛け

その当時、ご自身の趣味として始めた草木染めでしたが、次第に草木染めをやりたいので教えてほしい、染めてほしいという依頼が竹花さんの元へ届くようになりました。
「まずは草木染めのワークショップを始めましたが、参加者の方から「こんなものがあったらいいな。」という声もいただくうちに、関心をもってくださる方がこんなにいるんだなと感じ、『草木と花と』として作品の販売を始めることにしました。」

旬の植物を煮出して作った染め液で染めていきます。色合いや模様も世界に一つだけの作品が生まれていきます。

作品づくりへのお気持ちを伺うと、
「自然に還るもの、生活に必要なものをつくるようにしています。染料は、身近にある植物を採取したり、地元の農家さんからいただいた葉や枝を使用したりして染めています。例えば、りんごの葉は、りんご家SUKEGAWAさんの畑で、葉摘みの作業を手伝わせてもらった際に採取させていただいています。また、染めることも植物の命をいただくことと考え、いつも「いただきます」という気持ちを込めて染めています。また、植物はすべてを刈り取らないように気を付けています。
作品の素地には、自然の力を借りて染めていることから、オーガニックコットンを選びました。使用する助剤も、環境や人に害のないものにこだわっています。」

リンゴの葉染も葉摘みから始まります。こんな鮮やかな色に染め上がるとは・・・!

「『これで染まるんですね!』『こんな色合いになるんですね!』など、植物の色と実際に染め上がった布の色との変化に驚かれる方が多くいらっしゃいます。また、『柔らかくて履き心地がいい。』『色が合わせやすい。』などお客様から嬉しい言葉もいただいており、とても励みになっています。」

最後にお客様へのメッセージを伺いました。
「『草木と花と』は、草木や花、自然とともに生きていこうという意味が込められています。ひとつひとつ手作業で染めると、時期や手の加減によって同じもので染めても違った色合いになります。そのときにしか出せない一期一会の色です。身に着けることで、より自然を身近に感じていただけたら嬉しいです。」

時期によっても染め上がりが変わってくる。まさに一点物。

今後は、衣服などを手縫いで作っていくことにもチャレンジしたいと語る竹花さん。「日々の暮らしの中に、自分で染めたものや自分で縫ったものがあったらいいなぁと思っています。みんなで集まって一緒に身近な素材で布を染めたり縫ったりする活動もしていきたいです。」竹花さんの今後の作品もとても楽しみですね!

文:松本菜穂

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