コラム

りんご家SUDA ~須田治男さん~

白くて可愛らしい花が満開の「りんごやSUDA」さんのりんご畑。今回は、オーナーの須田治男(すだはるお)さんに、りんごのシードル「Sakuho Terroir Le Pomme du Mousse」が誕生するまでのエピソードや商品に込められた想いについてお話を伺いました。


横浜でソムリエをしていた治男さんは、創業1927年の家業のりんご園を35歳の時に継ぐことを決めました。「これまでもたくさんの方に喜んでいただいてきたりんごの栽培を守ると共に、ソムリエとしての経験を活かし、よりよい物を届けていきたいと思いました。ワインが好きなこともあり、実家を継いだ際には自分の作った果実でお酒を作りたいと思っていたのです。」そうして生まれたのが、りんごのシードル「Sakuho Terroir Le Pomme du Mousse」でした。


シードルを作るにあたり、委託する醸造施設探しに難航した須田さん。そんな中、信州スローフードの会で偶然隣の席だったヴィラデストガーデンファームアンドワイナリーの玉村豊男さんと出会い、醸造をお願いできることに。ヴィラデストでシードルの委託製造を請け負っているのは、なんとりんごやSUDAさんのみ。ブルターニュ地方の製法で、昔ながらの木枠のプレス機などを使用し、じっくり醸造されています。時には、治男さんも破砕、プレスまでお手伝いするそうです。
また、ワインラベルのデザインにも治男さんの想いが詰まっています。「ホテルやレストランで出しても見劣りしないものを。」そんなイメージしていたところ、佐久市在住のデザイナーの伊藤さんとの出会いがあり、洗練された美しいラベルが出来上がりました。
「2019年の東京シードルコレクションにてラベルデザイン、テイストが共に評価された際には、自分が思っていたデザインや味が形になった!と、とても励みになりました。」と語る治男さん。そんな治男さんの想いやこれまでの歩みが詰まっているシードルは、今年で9シーズン目を迎えました。今年はどんな味や香りを楽しめるのでしょうか。


ところで、「シードル」と聞いて、皆さんはどんなイメージを持ちますか?(筆者は、ワインと同様に、洋食に合う、特別なときに楽しむお洒落な飲み物のイメージを持っていました。)
「実は、鮎の塩焼きや懐石料理にもシードルは合うんです。ぜひ、佐久穂町の食材と一緒に飲んでみてほしいです。辛口で食材の邪魔をしないシードルは、信州サーモン(八千穂漁業 i-bushi.jp)のコンフィ、きたやつハム(kitayatu-ham.co.jp)のポークソテーやポトフ、生野菜のディップなどとの相性が抜群です。これこそ地産地消ですよね。」と治男さん。以前に、佐久穂町のイベントで、お客さんがシードルと共に地元の食材を使った料理を楽しんでいる光景を見てとても嬉しくなったそうです。
他にも、りんごのクラフトビールやりんごとプルーンのリキュールなども作られ、地元佐久を始め、国内外でもりんごやSUDAさんの商品が楽しまれています。


ソムリエとしてのこだわりとご縁から生まれた、シードル「Sakuho Terroir Le Pomme du Mousse」には、美しいストーリーと故郷佐久穂町への想いが込められていました。

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